キリスト修道院のメイン!といっても過言ではない場所、「テンプル騎士団聖堂(Rotunda)」
エルサレムの聖墳墓教会にならって、12世紀に建造されました。
でも、「なんでテンプル騎士団?」と疑問が。
それは1147年のサンタレンの戦いに勝利した際に、レキンコスタに貢献したテンプル騎士団にアルフォンソ1世(ギマラインスの記事で書いたポルトガルの初代国王)が恩赦としてこの土地を与えられました。
テンプル騎士団はここに強固な城塞と聖堂を築き、できたのがこのトマールのキリスト修道院なんです。
上の写真の真ん中の内部も豪華!
ビザチン風ロマネスク様式の聖堂で、16角形の円堂になっています。(堂内は16世紀の壁画で飾られています。)
これはテンプル騎士団の騎士たちがいつでも戦いにいけるように、馬で回りながらミサに参加したからなんですって!
だからか、円になった道は広くとても天井が高くなっています。
PCでしか見れないかもしれませんが、この16角形の円堂を歩いた動画です。
とても静かで、豪華で、想像以上に天井も高く美しいです。
1週、ゆっくりと歩いたので雰囲気とか感じが伝わるかも?
本当に静かで私の歩く音と、咳払いとかしか音は入ってません(笑)
テンプル騎士団が弾圧された14世紀以降(1312年にフランス王フィリップ4世に取りつぶされた)は、デイニス1世は教皇から新しい宗教騎士団、「イエス・キリスト騎士団」の創設許可を取り付け、テンプル騎士団がポルトガル国内に所有していた財産を譲り受けることになりました。
そして、エンリケ航海王子をはじめ、ポルトガル王室から代々キリスト騎士団の団長を迎えます。
このテンプル騎士団からキリスト騎士団って、むちゃくちゃ財産と収入があったそうですよ。
エンリケ航海王子が切り開く大航海時代、未知の世界に(御伽噺の世界だった)多額のお金を投入できたのは、この騎士団のおかげっていっても過言ではないと思う。
テンプル騎士団とポルトガルと大航海時代。
以外に知られてない強いつながりは、この修道院に全てが残っている感じでした。
おまけ
「なんでテンプル騎士団ってお金をいっぱい持ってたの?」
11世、イスラムに占領されていたキリスト教の聖地、エルサレムを奪還するために組織された遠征軍、十字軍が始まりなんです。
(ちなみに、エルサレムはイスラム協にとっても聖地)
第一回の遠征でエルサレムを奪還したんだけど、周囲はイスラム教のひとばかり!
この地を巡礼したいキリスト教徒は、かなりの危険を覚悟しなければならなかったんです。
そこで、巡礼者を守る目的で生まれたのが「テンプル騎士団」という自警団だったんです。
テンプル騎士団は、僧侶のような質素な生活を送り、でも巡礼者が危険にさらされればその身を投げ打ってでも敵と戦う!
聖職者でありながら騎士でもある集団だったんです。
そのヒーロー的な存在は当時ものすごい人気で、10名ほどで始まった騎士団だったのがあっというまに大所帯になっていきます。(全盛期には2万人の騎士がいたんだって!)
それに伴い、王族や貴族が土地やお金、地位を与えていったんです。
テンプル騎士団は大人数になってきたからか、ヨーロッパに広く分散して、交易の警護も引き受けるようになります。
この行動は、ヨーロッパの交易を活性化させました。
さて、ヨーロッパに活気があふれる中、巡礼者に大きな悩みが。
自分たちが巡礼にでている間、財産はどうするか?
当時の巡礼の旅はとても日数のかかるもの。ですが、まだ銀行などの資産を預かってくれるような金融機関が存在しなかったため、多くの財を持つ家は巡礼の旅に出ること事態が難しかったのです。
ここで、テンプル騎士団が「資産(財産)を巡礼の間一時的に預かる」事業をはじめます。
先ほど書いたようにテンプル騎士団は聖職者であり、そして模範的な騎士の集まりなんです。
資産や財産を騙し取るようなことはしない!と、絶対的な信頼と安心あり、多くの巡礼者が財産を預けるようになりました。
これで信頼を勝ち得たのか、テンプル騎士団は貴族や王族の金融業(銀行のような業務)をになうようになり、莫大な資金力と軍事力を持ちます。当時、その規模はヨーロッパ一国に匹敵する大きさだったんです。
さて、十字軍の遠征ですが、何度も行われた遠征にテンプル騎士団も参加しますが、ついに12世紀にイスラム教国に敗北。
エルサレムを奪われてしまいます。
これ以降、十字軍の遠征は行われなくなったことでテンプル騎士団は巡礼者の護衛などの騎士としての役割も行われなくなり、金融業だけの組織となってしまいます。
莫大な資産から幾度も貴族や国家の財政難を救ってきましたが、設立当初のヒーロー的な存在(模範的な騎士としての姿)はなくなってしまいます。
それから、テンプル騎士団は弾圧されていくのですが、莫大な資金はまだ持っていたはず。
それを手に入れた当時のポルトガル。
御伽噺のようなプレステジョアンの国を目指してポルトガルが莫大な資金を出せたのが少しわかる気がしますね。
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